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悪魔のミカタ―魔法カメラ

 「・・・・・・それで俺、思ったんだ。俺が事件を忘れちゃったのは、もしかしてあの時大泣きしたせいじゃないかって。ほら、あるだろ、他人に話すだけで楽になったり、泣いたら楽になったとか、そーいうの。俺はあの時泣きに泣いて、涙と一緒に流しちゃったんだ、辛くなるような事全部、記憶ごとまとめて」

「・・・・・・うん、そういう事、あると思う」

「だから母親が死んだ時、俺は決めた。大事な人が死んだ時は、絶対に泣かないって」

息を呑む音。

「そんな」

「どんなに辛い記憶でも、その人を忘れるよりはいい。泣くことで気持ちが晴れて、代わりに記憶が薄れるんなら、俺は泣かないで、その分だけでもその人の事を覚えていたいんだ。(後略)」

(中略)

「・・・・・・ってゆーより、泣くのが怖い。泣いたら泣いた分、楽になって、その文日奈を忘れそうで。俺は、忘れたくない。苦しくても、日奈の事、絶対、絶対に忘れたくない。だから、絶対に泣かないんだ。泣かないで、そうして俺は日奈の事、ずっと覚えているんだ」

 

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

悪魔のミカタ―魔法カメラ (電撃文庫)

 

 SFラノベの傑作『紫色のクオリア』の作者のデビュー作。

文章は荒削りだし、正直読みにくい部類に入るけど、のちの傑作を予感させる萌芽みたいなものは確かにあるような気がする。

 

kaitoster.hatenablog.jp

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