麻雀放浪記(一) 青春編

「何故、博打なんか打って生きるの」

「そんなこと知るもんか。だがな、こりゃアなにも珍しい生き方なんかじゃねえんだぜ。本来は皆、こんなふうにして生きるものなんだ。それじゃ不幸だっていったって、仕方がねえんだよ」

「何故なの。負け惜しみでしょ」

「どうだかな。不幸じゃない生き方ってのは、つまり安全な生き方って奴があるだけだな。安全に生きるために、他のことをみんな犠牲にするんだ」

「それでもいいじゃないの」

「そうだな、女はそう思うんだ」

 

 「後悔しねえかい、俺と一緒で」

「なんで後悔なんかするもんですか」

 と彼女は健の耳もとで甘くささやいた。

「だってあたしは、健さんにたったひとつ残った持ち物じゃないの」

 

麻雀放浪記〈1〉青春篇 (文春文庫)

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麻雀放浪記(一) 青春編 (角川文庫)

麻雀放浪記(一) 青春編 (角川文庫)

 

 麻雀小説の最高傑作シリーズ。

解説が、最近話題になった80歳になって東京に戻ってきた畑正憲さんで、作者と二日二晩どろどろになるまで打った徹夜麻雀の思い出を語っているのが面白かった。