ビートのディシプリン〈SIDE2〉

「まあ、それだけあなたと私のいる世界が過酷だってことなんだけどーー無関係の者を犠牲にすればするほど、私たちはどんどん、自分の行動の”正しさ”をなくしていくのよ。どんなにご立派な目的でも、それはぜんぶ言い訳にしかならなくなり、どんどん”意思”ではなく、”結果”ばかりに縛られて行動しなければならなくなってしうまうーー(中略)」

 

ビートのディシプリン〈SIDE2〉 (電撃文庫)

ビートのディシプリン〈SIDE2〉 (電撃文庫)

 

  振動には共鳴と呼ばれる現象がある。同じ振動数を持つもの同士は、一方が鳴っていると他方も同じ振動で動き出すというもので、マイクでスピーカーから声を出す場合、そのスピーカーから出た音をさらにマイクが拾ってしまうと”ハウリング”と呼ばれる騒音を発して収拾がつかなくなることがあるが、これはほぼ同じ振動の音同士が干渉し、合わせ鏡のように際限のない共鳴が生じてしまうためだ。

 

  彼女の顔には優しげな笑みが浮いている。彼女の前に立っている男は、人がそういう微笑みを獲得するには、ある経験を積まなければならないことを知っていた。

 自分にとって何が最も大切なのか、そのことを見極めなければならなかったことがある人間でなければ、そういう表情は決して見せられないのだ、と。