サイハテの救世主 PAPERI:破壊者

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「そうだ。まず時間だが、寿命と言い換えてもいい。世界を破滅に追いやるには膨大な時間が必要だ。手足となる兵士を得て、それらを洗脳して掌握し、訓練し、命令を伝達し、目的地に移動させる時間ーー世界規模でそれを実行するには人間一人の一生では足りない。せいぜい大陸一つ支配できる程度だ。破壊者といえど己の寿命は伸ばせない」

(中略)

「次に武器。竹槍で世界は滅ぼせない。銃でも無理だ。文明を滅ぼし尽くすには、それができるくらい強力な兵器が必要になる」

 葉は続ける。

「次に、情報。破壊者一人では文明を滅ぼすのは不可能だ。何しろ何十億という人間を探し、見つけ出し、殺すという過程は手間がかかりすぎる。これを解決するには、世界中の人間をパニックに包み、疑心暗鬼に陥らせて互いに殺し合うよう仕向ける必要がある。そのためには人どうしで恐怖を伝染させるだけの正確な情報伝達が必要だ。噂などという劣化しやすい上に伝達速度が遅い手段ではダメだ」

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「情報伝達の手段が発達したことで、何万キロも離れた場所での事件も身近に感じるようになった。一般人に至るまで、報道やインターネットによって恐怖は伝染する。軍隊を持つ権力者も同様だ。遠く離れた国でのテロ事件ですら、自国に影響する。国民の不安を制御しきれなくなった時、為政者は外に敵を作り出して統制を図るものだ。これは歴史が証明している。さて、それが世界中の国々で膨張し続けたら、どうなるかーー」

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 「英雄の天敵だからな」

 葉は窓の外を眺めながら、呟く。

「平和というものは」

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「今までずっとそうしてきたでしょう!何度も人々を救ってきたでしょう!なぜですか?それが世界でたった一人しかいない天才の仕事だからです!それをするしか貴方には能がないからです!そうすることでかろうじて、こっそりと、嫌われながらも人の輪に混ぜてもらってきたんでしょう!仲間外れにされずに、なんとか人間のフリを続けてこられた!人間じゃないくせに!この世で一人っきりしかいない天才のくせに!」

(中略)

「天才でなきゃ、貴方なんかはただのゴミクズなんです」

(中略)

「英雄なら、人類の役に立てっ!さもなきゃ燃やして捨てるぞ!」

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