神さまのいない日曜日IV  

「私は私を信じます。だから、私は私を疑います」

 目を閉じたまま老爺が問う。

「・・・・・・それは、矛盾ではないのかね?」

「いいえ」

 アイはきっぱりと首を振る。

「本当に信じるって、そういうことだと思います。本当に自分を信じたなら。そこには必ず、疑いがなければいけないはずです・・・・・・さもなければそれは、盲信です」

 呵呵呵ッ! と老人は笑って瞳を開き、アイをねめつけた。

「儂らの願いを盲信と言うかね!?」

「・・・・・・怒りますか?」

「いいや、別に」

 事実、老爺に怒った様子はなく、ただ、楽しそうに笑って煙を吸う。

「そんなことは百も承知じゃからの。盲信と呼ばれて怒る者は、盲信者ではないよ。そんな客観的な視点を持つ者はまだまだ甘い」

 老爺がうまそうにパイプを吸って、喋りながら煙をはき出した。

「本物の盲信者はそう言われれば、こう答える。

『だから?』

 とな」

神さまのいない日曜日IV      (富士見ファンタジア文庫)

神さまのいない日曜日IV     (富士見ファンタジア文庫)

「あなたはどこまで、私に付いてきてくれるのですか?」

「・・・・・・君が夢をあきらめるまで、だ」

「ああ、やっぱり」

 嗤う。

「やっぱりそーかー。ユリーさんは、私は世界を救えるなんて全く、最初から、ビタイチ。信じてなんていなかったんですね」

「・・・・・・アイ」

「あなたは私が、どこかで必ず。夢をあきらめるはずだと、そう思っていたんですね?」

「・・・・・・アイ、聞いてくれ」

「あなたは私の『世界を救う夢』に賛同したのではなく。私があきらめた時、その瞬間にそばにいて、失意のどん底にある私を助けるために付いてきていたのですね?」

「・・・・・・・・・・・・」

「あなたは私の夢なんてどうでもよくて、私に幸せになってほしかっただけなんですね」

「・・・・・・・・・・・・」

「あなたは、大人ですね・・・・・・」

「・・・・・・きついな」

(中略)

「子供に『お前は大人だ』と言われるのは。存外きついな」

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