神さまのいない日曜日III

 実は自分は、泣くのが少し好きだ。

 こんなこというと『嫌な子だ』とか『好きで泣いてる泣き虫』とか思われそうで、うまく伝わるわけがないから誰にも言ったことはないが、自分は泣くのが、好きなのだ。

 だって、『泣く』ということは『泣きやむ』ことと、絶対にセットになっているから。

 アイは思う。

 泣く、のはきっと、泣きやむ、ためだ。泣いて泣いて悲しくて、どんなに涙が尽きないと思っても、それでもいつか涙は止まる。

 母が死んで、父が死んで、夢が砕けて泣きわめいても。それでもいつか、不義理なくらいに涙は止まる。

 それはきっと、涙が泣きやむためにあるからだ。悲しみを塩水にかえて、自分の体から追い出す、ためなのだから。

 だから、自分は、泣くのが好きなのだ。

 ・・・・・・それはアイの短い人生観が生み出した、悲しみに対処するための一つの答えだった。自らの涙に彩られた生を納得するために作り出した理屈だった。

神さまのいない日曜日III (富士見ファンタジア文庫)

神さまのいない日曜日III (富士見ファンタジア文庫)

「私は心に誓ったことがみっつあるんです。『世界を救うこと』と『もう騙されないこと』--そして」

 疲れて力の抜けた頬に自然な笑みがへらりと浮かぶ。

「『諦めるまで諦めないこと』です。そう、誓ったんです」

神さまのいない日曜日III  生者の学園 (角川文庫)

神さまのいない日曜日III 生者の学園 (角川文庫)


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