銃姫 2 ~The lead in my heart~

「あなたを本当に必要としている人は、あなたになにかしてほしいと思って必要としているわけではないんです」

(中略)

「そして、僕のことを必要としてくれている人も、僕になにかしてほしいと思っているわけではない。そのことがようやくわかったから、僕は戻ることができます」

 劣等感。

 罪悪感。

 憎しみ。

 それから愛情。

 心に溜まった重い感情はいつしか行き場を失って暴発してしまう。そして思わぬところで、それが弾にも火薬にもなる。心に留まって、さらに上から溜まって押しつぶされ固く固く凝縮された感情は、それがもとはなんであっても鉛になってしまうのだ。武器になってしまうのだ。

 人が銃に鉛弾を込めるように、人が心に装填するのもまた鉛なのだ。

 大切なことは自分で決める。

 だれかが決めた線ではない、--他のだれでもない、いつだってその線は自分自身の手で引き分けなければならないのだということを。

 

 それこそが、力だ。

銃姫 -Phantom Pain-(2) (シリウスコミックス)

銃姫 -Phantom Pain-(2) (シリウスコミックス)

「違うわ、セドリック。ひとりでなんでもやれるのが、大人になるってことじゃないわ。大人になったら、人間は自然に親から離れないといけない。でも、大人になっても頼れる人がそばにいることが、本当に頼らなくていいってことじゃないかしら。大きくなったってことじゃないかしら」

 彼女はぎゅっと固く握りしめられたセドリックの手をとった。そして、一本一本指をはがしていって、最後に自分の手をすべりこませた。

 彼女の手のあたたかさが、セドリックの胸まで届くようだった。

「ねえ、ひとりでなんでもできることより、ふたりでいっしょになにかをやることのほうが、ずっとむずかしくてずっと大切なのよ」

 セドリックはアンの目をじっと見つめた。彼女は誇りかに言い放った。

 

「あたしに、あんたを守らせなさいよ」

銃姫~Sincerely Night~(2) (シリウスコミックス)

銃姫~Sincerely Night~(2) (シリウスコミックス)