銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty

「武器を手にしたから人を殺すんじゃないわ。人を殺そうという思いが手に武器を握らせるのよ。つまり殺意があれば、手にしたものはみんな武器になる。それはフォークだって、剣だって軍隊だって同じよ。

 --だから人間は、決して武器を捨てられない」

「わたしたちは鶏のようなものだって。毎日なんにもない土をこつこつ突っついて、嫌なことはすぐに忘れるしかすべはない。こつこつこつこつやってくだけ・・・。働いて働いてときたまにお日様を見上げて、強い風が吹いたらそっちへ流される、風見鶏・・・」

(中略)

「たしかに僕たちは鶏のようなものかもしれない。自分の力だけではどうにもできないことがこの世には多すぎるから」

 でも、と彼は続けた。

 

「でも、鶏は明日を告げることができる」

銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty (MF文庫J)

銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty (MF文庫J)

『世界は変えるものじゃない、変わるものなのよ』

 そうエステルはアンに言った。アンは今ならその言葉の意味がほんの少しだけわかるような気がする。

 それはきっと自分自身が変わるということなのだ。自分が変われば世界は変わる。そうすれば世界を変えるのに武器はいらない。そこにはたった一言の言葉やほんのひとときの語らいがあれば十分なのだった。

銃姫 -Phantom Pain-(1) (シリウスコミックス)

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 --ねえ、アン。

 たとえばきみの言うとおり、言葉の通じない世界があって、人間は決して武器を捨てられないとしても、手を繋いでいればほかのなにをも握ることはないし、つないだ手はけっして武器にはならないと思うんだ。

 そう言ったら、きみはまた馬鹿馬鹿しいて笑うだろうか。やくたいもないきれい事だって。

 僕は、すてきなことだと思うんだ。 

 とてもね。

 --そういうことを、これからもずっと話していこうと思う。

銃姫~Sincerely Night~(1) (シリウスコミックス)

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