『スクロオル』 三島芳治 第五話「玉絵オートボイエーシス」

「ジュンちゃーん。心がなくても、かんたんに感想文書ける方法ないー?」

「そんなのあるわけないでしょ」

「あるよ? なんでも文の最後に『人の心と同じだと思いました』とか、『生命の仕組みそのもののようでした』って書いとくの。『人の心』なら随筆ふうで、『生命そのもの』なら知的エッセイのできあがり! それでなんとなくまとまるよ。あと、自分の意見がとくにないときは『印象的でした』でいいから」

「・・・・・・それだけ?」

「それだけ! テストくらいなら楽勝だよー。映画やお話を作るときにもね。最後に『人の心と似てる』って書けば感動的にまとまるし、『生命の仕組みそのものだ』って書けばSFになるよー。人とおしゃべりするときも、べつになんの感想もない時は 『印象的ですね・・・・・・』って言っておけばいいから。そうしていれば周りの大人からは『感受性の強いカンのいい子だな』って、自然に一目おかれるようになるよー」