紫色のクオリア

「・・・・・・たぶん、それが『問題』なのよ」

『あたし』は静かな、どこか諦観を思わせる声で、答える。

「問いがわかれば、そこから答えを導き出せる。--でも、『あたし』は、その問い自体がわかっていない。だから答えを導き出せない。なにに答えればいいか、問題をわかっていないから。そう、ゆかりを助ける、というのは目的であって答えじゃなく、問題自体がわからないから、そもそも答えを出せるはずがない」

「・・・・・・あたしには、解くべき問題自体が、わかっていないーー」

問題があるのはわかっている。

なにかを間違ってしまっている感じはある。

でも、それがなんなのか、あたしには、それ自体がわからないーー

紫色のクオリア (電撃文庫)

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時はさかのぼれるのかもしれない。

過去も、未来も変えられるのかもしれない。

でも、運命はーーいったん観測された運命は、どうあっても、変えられないのかもしれない。だから、ゆかりが死ぬのは『確定』していて、そこから生まれた『あたし』では、ううん、この『あたし』がいる限り、絶対に助けられないのかもーー」

「--そうね。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。本当のところはわからない。ただ、ひとつ、あたしがいえることはーー

ーーあきらめる『あたし』は必要ない。だからあなたは、消えて」

電話を切ると、あたしはため息をついた。

さぁ、もう一度、はじめよう。

始点から。光のように。あらゆる経路を突き進もう。

たったひとつの正解のために。

あたしはもはや、そういうものなのだから。

紫色のクオリア 1 (電撃コミックス)

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紫色のクオリア 2 (電撃コミックス)

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