零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係

 彼らは最弱と言ってもいいほどに弱く、逸脱せず、成長せず、変化せず、仮に逸脱し、たとえ成長し、いやしくも変化したところで、そんなものはすぐに元に戻り、反省も後悔もその場しのぎで、とても簡単に徒党を組み、そうかと思うと簡単に裏切り、何が起きても何事もなかったことにし、すぐに忘れ、とっさに意見を翻し、信条を持たず、怯えては逃げ、狂い、非常に適当で、約束を守らず、ルールを無視し、高いばかりのプライドを簡単に捨て、努力もなしで成果を求める。欲深の、しかし慈悲深い、善良でありながら悪逆で、感情移入とそれに伴う飽きを矛盾なく実現する、深く考え過ぎる割には何も考えておらず、行動力がない割には結果だけは出す、感情的な癖に中途半端に頭のいい、愛すべき群体としての個体。

 ありったけの敬意となけなしの軽蔑を込めて---人は彼らを『一般人』と呼ぶ。

 

零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係 (講談社ノベルス)

零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係 (講談社ノベルス)

「最強っていうのは、どれくらい強いと思う?」

「多分、一般的にイメージされるそれより、ずっと強いだろうね。閾値を完全に越えて、針を振り切っていると思う」

「そこまでか」

「うん。だけど強さなんて、ある一定のレベルを超えてしまえば、そこから先は互角みたいなものだと思うけどね。温度に上限がないのと同じだよ。百度だろうと一億度だろうと、水が蒸発することに変わりはない」

「なるほどね。だが、確か低温には限度があったんじゃなかったか?」

「そう。絶対零度」

「強さに限度はなくとも、弱さに限度はある」

「強さに絶対はなくとも、弱さに絶対はある」